目覚めたら最強装備と宇宙船持ちだったので、一戸建て目指して傭兵として自由に生きたい レビュー

『目覚めたら最強装備と宇宙船持ちだったので、一戸建て目指して傭兵として自由に生きたい』レビュー

タイトルで読む気が失せた自分を殴りたい

正直に言うと、このタイトルを見た瞬間は「はいはい、またなろう系ね」と思って閉じかけた。

タイトルだけで40文字超え。設定を全部バラしていて、もうこの手の作品は何百本目だよと。ラノベの棚を見るたびに思うけど、最近のタイトルは作品紹介じゃなくてあらすじそのものだ。

でも、暇つぶしに1話だけ読んだら、気づいたら最新話まで一気読みしてた自分がいた。

悔しい。本当に悔しいけど、これ普通に面白かった。だから今日は、読む前の自分をぶん殴るつもりでこの記事を書いてる。

ゲーマー主人公と、転がり込んできた居候

この作品の一番の引力は、主人公ヒロの立ち位置だ。

ゲーム廃人がそのまま異世界に飛ばされた設定なので、本人は別にヒーロー気取りもない。「金稼いで一戸建て買ってのんびりしたい」という俗っぽさが逆にリアルで好感が持てる。変に正義感を振りかざさないし、かといって冷酷でもない。等身大のゲーマーがそのまま宇宙に出た感じ。

で、そこに転がり込んでくるのがクリスという美少女。無一文で行き場もない彼女だが、ただのヒロインポジションで終わらないのがこの作品の上手いところ。彼女がいることで主人公の平穏な計画が崩れていくし、物語に動きが生まれる。ヒロの「面倒ごとを避けたい性格」と、面倒ごとを引き寄せるクリスの存在が、いい化学反応を起こしている。

他にもサブキャラが次々出てくるが、全員ちゃんと物語を動かす役割を持っている。「数合わせのモブヒロイン」がいないのは、地味だけど評価ポイント。キャラ同士の掛け合いもテンポがよくて、漫画版の作画を担当する鍋島テツヒロの表現力が存分に活きている。原作リュートのキャラ設計がしっかりしている証拠だろう。

この作品が読まれてる理由を3つに絞る

じゃあ、なんでこの作品がこれだけ支持されてるのか。ぶっちゃけ理由は3つだ。

まず「テンポ」。 この手のチート系にありがちな「覚醒までの長い前振り」がほぼゼロ。目が覚めたら即最強、即宇宙船。もう1ページ目から全開で、読者は「いつ面白くなるの?」と待つ必要がない。序盤のダラダラで脱落させる作品が多い中、この潔さは正直ありがたい。

次に「世界観の見せ方」。 SFって設定説明が面倒くさくなりがちだけど、この作品はゲーム世界ベースだから、読者もすんなり入れる。「あ、これRPGのアレね」で理解できるのは、実はかなりの利点。設定厨じゃなくても楽しめる宇宙モノって、意外と少ない。難しい専門用語でマウントを取ってくる作品とは一線を画している。

最後に「欲望に正直な主人公」。 最近のラノベは「実は優しい」「本当は仲間思い」みたいな照れ隠しが多いけど、ヒロは最初から「楽に暮らしたい」と言い切る。この清々しさが、逆に応援したくなる理由になっている。自分の欲望に素直なキャラって、読んでて気持ちいい。

要するに、装飾を削ぎ落として「読者が気持ちよくなれる要素」だけを残した作品。不純物が少ないから、読んでてストレスがない。

DMMブックスで読むのが一番手っ取り早い

ここまで読んで「あー、自分こういうの好きだわ」と思った人は、正直もう後半の感想パートは飛ばしていい。先に試し読みした方が早い。

DMMブックスなら試し読みもできるし、シリーズまとめ買いにも対応してる。ブラウザでもアプリでも読めるから、通勤中にサクッと始められるのも地味に助かる。

この手の作品は相性がすべてだから、合うか合わないかは最初の数ページで分かる。言葉で説明するより、実際に読んだ方が100倍早い。

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DMMブックス

宇宙規模の「巻き込まれ体質」が笑える

ストーリーの骨格はシンプルだ。

主人公ヒロは、気づいたら宇宙船の中にいた。しかも装備はゲーム時代のまま最強クラス。「じゃあ傭兵でもやって稼いで、どっかの星に一軒家でも買うか」という、実にゲーマーらしい発想でスタートする。

ところが、そう簡単にはいかない。無一文の美少女が転がり込んでくるし、宇宙海賊は出てくるし、面倒事は次から次へと降ってくる。

「のんびり暮らしたいのに巻き込まれる」という構造自体は王道テンプレだけど、宇宙規模でそれをやるスケール感が新鮮だ。田舎の農村じゃなくて、銀河単位で家探ししてるのは普通に笑える。

読んでみた率直な感想:思ったよりちゃんとしてた

テンポは文句なしに早い。1巻の時点で戦闘あり、ロマンスの気配あり、世界観の広がりあり。ダレる暇がない。通勤の電車で読み始めたら、降りる駅を通り過ぎたのは自分の実話だ。

漫画版の作画クオリティも安定している。宇宙船のデザインとか戦闘シーンの迫力は、この手のコミカライズの中ではかなり上位。「絵で損してるタイプ」じゃないのは嬉しい。松井俊壱の原作がしっかりしている上に、鍋島テツヒロの作画が噛み合っている好例だと思う。

ただ、正直に言えば弱点もある。

主人公が強すぎて緊張感が薄い場面はある。「負ける気がしない」状態が続くので、バトルのハラハラ感を求める人にはちょっと物足りないかもしれない。あと、SFとしてのハードな設定考証は最小限。「リアルな宇宙物理学」を期待して読むと肩透かしを食う。

でも、この作品はそういう土俵で戦ってない。

「仕事終わりに頭空っぽにして読める宇宙冒険活劇」として見れば、かなり優秀だ。ジャンクフードみたいなもので、栄養バランスを求めるものじゃない。でも、食べたい時にちょうどいい味がする。そういう作品。

こんな人にはハマる、こんな人には合わない

ハマる人:

  • 「俺TUEEE」系が好きで、主人公が苦戦するのを見たくない人
  • SF設定は好きだけど、ハードSFほど重くないのが欲しい人
  • テンポ重視で、サクサク読める作品を探してる人
  • 異世界転生にちょっと飽きてきて、宇宙舞台の変化球が欲しい人
  • 仕事帰りに脳みそ休ませながら漫画読みたい人

合わない人:

  • 主人公が努力して成長する過程を見たい人
  • リアル寄りのSF設定じゃないと納得できない人
  • ハーレム展開に拒否反応がある人
  • 「なろう系」というジャンル自体が無理な人

要するに、分かってて楽しむエンタメ作品だ。料亭の懐石料理じゃなくて、美味い焼肉食べ放題。それでいい。

最後にひとつだけ

もしあなたが「タイトル長すぎて読む気しない」と思ってここまで来たなら、1話だけ試してみてほしい。

自分もそうだったから分かるけど、タイトルのダサさと中身のテンポの良さは完全に別物だ。ラベルだけ見て棚に戻すのは、ちょっともったいない。

神作とは言わない。でも「今日、何か読みたいな」って時にちょうどいい一冊ではある。

宇宙で一戸建てを目指す男の話、意外と悪くないよ。